’16-08
村川拓也
「演劇作品をつくるためのワークショップ」

村川拓也と申します。

今回仙台は二回目のワークショップで呼んで頂きました。今回は、これまで僕自身がやってきた事、考えてきた事を一旦整理して、自分がどのような作品や考え方に影響されてきたのかを振り返ることから始めたいと思います。一日目は、これまで僕自身がどのような作家や作品に影響されてきたのかを、みなさんに映像資料を見てもらいながら紹介したいと思います。映像資料は、演劇作品だけではなく、演劇以外の作品やもしかすると作品でもなんでもないものも含まれるかもしれません。いくつか自分の中でも思いつく作品があるので、それを見てもらう所から、こういうことがあるんですと言う所から始めたいと思います。まずは、皆さんに映像資料を見ながら、いろいろなアイデアを自由に思い浮かべてもらいたいです。

大事な事を言い忘れていましたが、今回のワークショップは最終日にその成果を作品として上演します。つまり、ワークショップと言うより、短期間で一つの作品を作り上げることを目的としています。短期間で作品を作るのは大変です。だから、短期間と言うのを逆手に取って、今回はあえてほとんど稽古をしないでおこうと思います。台本も書きません。セリフの練習もないし、演技指導もありません。それでも演劇と呼べる作品が作れるのかを、みなさんと挑戦したいと思っています。どういう形の作品になるか具体的には分かりませんが、おそらくその時に一回しかできない事、即興とはまた違うんですが、その時その場所でしかできない、生まれない事をやりたいと思っています。

前に本番当日まで出演者が未定の作品を作ったことがあるのですが、例えばそういうふうに、本番で何が起きるか不明のまま本番を迎えるような作品を作りたいと思います。いっぱい練習して稽古してセリフを覚えて、本番ではその通りにやる作品ではなく、本番中に何が起こるか、何が成功して何が失敗するのか、分からない作品です。そんなのは、「作る」ってことじゃないじゃないかと思われるかもしれませんが、違います、それも「作る」事なんだと思っています。稽古をしないで作品を作る為には、膨大な量のアイデアを出さないといけないし、実現の為に膨大な量の細かい作業があったり、作品の実験を何遍も重ねる必要があったり、はたまた、なにもしないでぼーと過ごす時間が必要だったりします。だから、今回のワークショップは、何もない所から始めて、一体何が演劇なのか、どこに演劇があるのかを発見するワークショップであると言い換えても良いかもしれません。

ま、あと、このワークショップの企画者の小濱さんが、「仙台の若手の演出家希望の人達は、演出をしたくてもどうやったら演出ができるのか、演出家になれるのか、分からなかったりまず何からやれば良いのか分からない人が多いのではないか」と言っていて、この挨拶文でそういう若い演出家志望の人達に、演出と言う作業はそんなに難しく考えなくてもいいんだよ、という趣旨の文章を書いてくれと頼まれたのですが、頼まれたからと言う訳ではなかったけれども、今回のワークショップはそのことにうまく答えられるんじゃないかと思っています。台本も要らないし、稽古も要らないなら、比較的インスタントに演出と言う作業に向かえるんじゃないかと思います。作る過程を含めて、体験として「経験する演劇作品」を作ることができればと思います。

4日間あります。短いですけど、そう短くもないと思っています。あっ、とみなさん日々色々思うと思うので、そのあっ、としたアイデアにもならないような、他人にとってはとるにたらないような、あっ、って思ったこと、千田是也が「食事中に下にかがまれたさい、あっ、っと声をあげられ、腹痛を訴えられてそのまま病院に運びこまれ、ついに回復することなく、帰らぬ人となりました。」(西堂行人)の、あっ、ていうアイデア以前の何かや、中平卓馬の記憶がなくなった後の日記「まったく眠れず、私6時31分近く覚醒。昼寝極力阻止!! 妻、鐐子9時10分覚醒。元君、彼女の後、覚醒」(中平卓馬)のことを大事にしたい。よろしくお願いします。

 

<企画者挨拶>
「演劇」と聞いて皆さんはどんなものをイメージするでしょうか? いろんな劇を思い浮かべられたかと思います。ですが、皆さんが今思い浮かべられたものは、そんなに大きな違いはないのではないかと思います。 今回のワークショップは、皆さんに今イメージした「演劇」を一度問い直してもらいたいという思いから企画しました。 「物語って何なのか?」「言葉を交わすってどんなことのか?」「本当に出会うってどんなことなのか?」 講師は京都を拠点に活動している演出家/映像作家の村川拓也さんです。村川さんは「演劇」を常に疑い、その中に立ち上がる、小さな真実をまなざし、演劇の枠にとらわれない作品を作ってこられました。今回のワークショップは、ひたすらに考え、ひたすらに話し合い、ひたすらに実験を重ねる4日間です。 ワークショップ最終日には発表会を行い、その成果を作品として発表します。今回、参加者の皆さんには、誰かに与えられたり、誰かに教えられたものでない、あなただけの「演劇」を見つけ出して欲しいと思っています。そしてそれを見つけることは、今後演劇を創り/見守り続けていくあなたにとって、何より強い根拠になるはずだと信じています。ご応募お待ちしております。

C.T.T.sendai事務局長 小濱昭博

 

|ワークショップ

【講師】村川拓也

【会場】せんだい演劇工房10-BOX

【日時】①2016年8月10日(水)18:00〜21:45 box-5
    ②2016年8月11日(木)13:00〜21:45 box-3,5
    ③2016年8月12日(金)13:00〜21:45 box-5
    ④2016年8月13日(土)13:00〜21:45 box-5

【対象】健康で演劇が好きなら、年齢性別問わずどなたでもお受け頂けます。
      ※18歳未満の方は保護者の方の同意が必要

【参加費】①のみ:1,500円
     ①〜④通し参加:8,000円
      ※②③④の単発参加につきましては、ご相談ください。

【定員】16名(先着順)
      ※予定人数に達し次第締め切りといたします。

 

|発表会

【会場】せんだい演劇工房10-BOX box-5

【日時】2016年8月13日(土)19:00〜

【参加費】入場無料

【お申し込み】info@tsuki1.ws までお名前と連絡先(電話orメールアドレス)をお送りください。

 

村川拓也/むらかわ・たくや
演出家・映像作家。1982年生まれ。2009年まで、地点に演出助手として所属。独立後は演出家として活動を開始し、ドキュメンタリーやフィールドワークの手法を用いた作品を様々な分野で発表している。主な作品に『ツァイトゲーバー』(2011) 、ドキュメンタリー映画『沖へ』 (2012)、『Everertt Ghost Lines』(2014)など。『ツァイトゲーバー』は各地で再演され、2014 年5 月にはHAUHebbel am Ufer(ベルリン)の「Japan Syndrome Art and Politics after Fukushima」にて上演された。2015年には韓国・光州のAsia Art Centar Theaterにて滞在制作を行い『Everertt Ghost Lines』光州バージョンを上演。セゾン文化財団助成対象アーティスト。

>>>ホームページ